「豊かな交わり、時にはマニアックに」 SIGNIS Japan 石原 良明

+ 主の平和
毎回、参加できる時には楽しみに、ワークショップに参加させて頂いております。ゲストの講師のお話を伺う形式のときでも、あるいは片岡先生がこれまでテレビディレクターとして培われた知識やご経験をお話しされる形式のワークショップでも、大変楽しい時間を過ごさせて頂いております。

礼拝やミサを撮影したりインターネット中継をしたりするという、これまでの教会であれば、むしろタブーだったであろう新しい分野であるにもかかわらず、毎回、ゲストや参加者から知恵や経験が分かち合われ、ともに学び合っています。カメラの配置や画角の使い分けのコツ、配信機材に求められるスペック、動画編集の妙技など、どの話も具体的で大変わかりやすく、すぐにも実践できる工夫ばかりです。

時には、技術的な話でマニアックな話題が尽きなくなることもあります。マイクの性能、PA、ミキサーの種類、配信用のパソコンに搭載しているグラフィックボード、編集ソフトのこだわりなど、オタクたちの饗宴が繰り広げられています。

とはいえ、私自身は礼拝やミサの配信や福音宣教のための動画作成に従事しているわけではありません(オタクではあります)。

SIGNIS Japan(カトリックメディア協議会)は、動画伝道ネットワークの働きに強く共感し、カトリックの側からもこれを応援すべきと考え、後援していくことに決めました。私はSIGNISのメンバーとして応援するべく、参加させて頂いております。

新型コロナウィルスが猛威を振るう直前から、この動画伝道ネットワークは始まったそうです。その後コロナ禍により人に会えなくなり、教会に通えなくなるという、信徒同士のつながりが絶たれるピンチの時に、同時発生的に各地の教会で礼拝中継の試みが始まりました。それにつれて、動画伝道ネットワークも徐々に広がり、教派を超えた新しいつながりが生まれました。

それからそろそろ2年半、むしろ感染力は強くなり、ミサの中止(そして中継の中止)という事態すら起きています。どこかの教会で誰かが中継してくれていれば良いのではなく、これからは、どのような教会にも、インターネット中継がほぼ必要なものになっていくかもしれません。そして課題は、より良く、より自然なネット中継はどうしたら可能なのかということです。

動画伝道ワークショップの最大の魅力と私が思うのは、やや抽象的ではありますが、幅の広さと、そこから生まれる豊かさです。様々な教派の先生方や信徒の皆様、さらに都会と地方の分け隔てもなく、場合によっては海外からも、あるいは世代も越えて、様々なお話しを伺うことができる貴重な機会となっています。かつてこのような交わりが日本の教会にあったでしょうか。

そして、毎回後半のフリートークでは、素朴な質問に始まって、それぞれの参加者がそれぞれの教派での体験と照らし合わせながら、自由闊達な意見交換をしています。礼拝やミサの配信を通して直面している同じ課題に教派を超えて取り組み、それがきっかけとなってお互いをよく知る機会になっています。日本の教会だからこそのワークショップになっているといえるでしょう。

このような場を作って下さっていることに、片岡賢蔵先生、諸教派の先生方、参加者の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。

これまで一度も参加したことのないけれども、しかし教会からの配信や動画編集に関心のある方々には、ぜひ一度だけでもご参加くださることをお薦めしたいと思います。伝道・宣教のために中継と動画製作にこだわり抜き、機材選びに妥協しないオタクたちが、あなたを待っています。

石原良明
カトリック東京大司教区信徒
SIGNIS Japan(カトリックメディア協議会)メンバー
上智大学神学部非常勤講師(旧約聖書学)

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この記事を書いた人

テレビディレクターとして、テレビ東京系WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)、カンブリア宮殿、美の巨人たちなどの経済・美術番組に携わり、国内外1000社以上の企業を取材。

その他、企業VPや、劇場公開映画の制作、キリスト教関連では「ドキュメント加藤常昭」などドキュメンタリー作品を多数制作。

2017年映像制作会社を退社、2021年3月、東京神学大学大学院卒業、現在、新潟市にある日本基督教団 東中通教会 伝道師。

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