「恐れずに撮ってみて、発信してみる」タイ王国 宣教師 河野晃

ワークショップ全体を通しての感想ですが、このワークショップを通して、インタビュー術やナレーションの書き方、物語の組み立て方、編集の方法、発信の方法やメディアリテラシーなど私個人の力では学ぶことの難しい多くの具体的な事柄を教えていただきました。一つひとつの学びに大変感謝しています。

その中で、私なりにワークショップ主宰の片岡賢蔵さんから受け取った最も大切なメッセージは、「心動かされたことを、飾らず、肩ひじ張らず、ありのままに撮ってきましょう」ということです。このことは、片岡さんの言葉の端々から、そしてご自身がプロのテレビディレクターとして作成されたすばらしい映像、ドキュメンタリーを通して感じたことです。これは、私たちの日々の歩みの中に注がれている神様の恵みを、私たちのありのままの日常の姿、教会の様子を通して証ししていく、ということに言い換えることができると思います。

コロナ禍にあって、今までのような礼拝や集会、交わりを持つことが困難な状況になりました。その中で、インターネットを通して発信をし、また交わりを持つことは必要不可欠な状況になっています。日常生活の劇的な変化の中で、私たちの生活を支える土台の一部は、すでにインターネットというプラットフォームに移行したからです。この「Withコロナ」という時代にあって、過去の生活を取り戻す、ということによりも、これからの新しい生活様式に私たちがどう順応していくか、ということが求められているとするならば、その新しい生活様式の大きな部分を占め始めているインターネットというプラットフォームで、ではキリスト者である私たちはどう行動するべきか、ということを考える必要があると思います。そして、その問いに対する大切な答えの一つは、本質的には今までと変わらず「伝道」であり「宣教」であろうと考えます。つまり、インターネットを通してキリストを証しする、発信していくということだと考えます。しかし、このような劇的な変化は、片岡さんが学びで分かち合ってくださいましたが、長い歴史の中で、すでに教会が経験し行ってきたこと、具体的には多くのキリスト者たちが教会で聖画を描き、それらを通してキリストを証ししてきたことと同じです。

だいぶ道がそれてしまいましたが、動画を撮り、編集し、発信することは、技術的なことや道具、様々な準備など多くの事柄が求められます。とても難しいように見えます。しかし片岡さんによれば、実際はそうではありません。シンプルに、自分にできる範囲で行う。まずは恐れずに撮ってみて、発信してみる。大切なことは、日常生活や教会生活の中で、自分が何に感動し、何に心を動かされたのか、ということに目を向けること。そして、それらの出来事があるならば、スマホなど手元にある道具で気軽に撮り、手間をかけようとせずできる範囲で編集し、発信してみる。

世の中には、すでにありとあらゆるジャンルの動画、エンターテイメントや情報としての動画が溢れています。しかも、素人でも大変質の高い動画を作り、発信されている方が大勢います。しかし、同時に、本質的なもの、真実なものが失われてきているようにも思います。そのような中で、私たちが心動かされた、真実で偽りのないことに目を向け、それを動画という形で発信するならば、そこには私たちが今まで行ってきたことと同じように、自然に神の愛が現わされ、キリストが証しされ、伝道に用いられていくと考えます。

私のタイ宣教というコンテキストで考えるならば、今まではニュースレターや一時帰国時の宣教報告会という、限られた場所と機会のみの主の宣教の恵みの分かち合いでありましたが、それが動画を通してタイムリーにいつでも、そしてどこででも(教会や各家庭、個人とでも)分かち合うことができる、という新しい仕組みを提供するものになったのだと思います。さらに言えば、遠く感じられていたであろうタイという国とそこに住む人々の生活、宣教の様子などが動画を通してリアルに届けられることにもなり、具体性という要素も加えられることになっているように感じています。これらのことは、宣教師と送り出す側に、このコロナ禍の中にあってなお互いを身近に感じ、共に宣教の恵みをタイムリーにかつ具体的に分かち合う機会を提供するものになっているのだと感じ、感謝していまいます。そのためにタイでの日常の中で、「心動かされたことを、飾らず、肩ひじ張らず、ありのままに撮っていく」ということを大切にしていきたいと思わされました。

長くなりましたが、今回の一連のワークショップへの参加と学びは、私個人の動画作成に対する考えを改めさせ、また方法の改善、新しい知識の蓄積を促すものとなりました。そして同時に、私たち家族を送り出してくださっている多くの諸教会、神の家族の皆様との関係を深め、拡げ、そして神様のタイ宣教における恵みを分かち合うすばらしい方法とモチベーションを与えてくださるものとなりました。私一個人ではできないことでした。このような貴重な学びの場と機会を提供くださった片岡賢蔵さんと、これを案内し、支えてくださった国外宣教委員会に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 主の宣教の恵みを分かち合い、主を証しする方法として、日々の働きの中に学ばせていただいた事柄を積極的に用いていきたいと思います。

河野 晃
日本同盟基督教団  タイ王国 宣教師

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この記事を書いた人

テレビディレクターとして、テレビ東京系WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)、カンブリア宮殿、美の巨人たちなどの経済・美術番組に携わり、国内外1000社以上の企業を取材。

その他、企業VPや、劇場公開映画の制作、キリスト教関連では「ドキュメント加藤常昭」などドキュメンタリー作品を多数制作。

2017年映像制作会社を退社、2021年3月、東京神学大学大学院卒業、現在、新潟市にある日本基督教団 東中通教会 伝道師。

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