動画伝道ハンドブック  5.広める(上映・配信)

今まで、キリスト教の教会のことを伝えたり、宣教や伝道について伝えるのに、文書によるものが中心でした。プロモーション用の動画などはプロに頼んだり、お金がかかるものだったからです。

そこで、2019年から始まった動画伝道ワークショップでは、ビデオカメラに触ったことのない方でも、スマホなどを使うことで、特別な機材を購入することなく、楽しみながら動画づくりを進めるコツを一緒に探っています。

そのために、ワークショップでは、動画づくりについて、5つのステップに分けてお伝えしています。

1.見る(撮影)
2.聞く(インタビュー)
3.話す(企画・ナレーション)
4.まとめる(編集)
5.広める(上映・配信)

この5つについて、ハンドブックにしました。今回の記事は、その5つ目、広める(上映・配信)についてです。動画づくりの参考までにお読みいただければ幸いです。

目次

5.広める(上映・配信)

低予算の動画を広めるには、YouTubeなどネットで配信することが効果的ですよね。それでも、信仰についての物語は、どうしても個人的な事柄として捉えられがちです。

このことが、昨今の個人情報管理のあり方と相まって、動画として曝け出されるメディアに対して、様々な方に否定的な感情を抱かれることがあるでしょう。

それが教会であったり、様々な方々がいる中で、コンセンサスを得ていくのは骨の折れることです。


しかし一方で、教会は信仰を公に言い表すところでもあります。本来、そのことは、誰にも妨げられるものではないはずです。

こうした動画制作を通して、教会として、私たちの信仰をどう伝えていくかの姿勢を確認することも必要なことではないでしょうか。

したがって、完成した動画が、どんな人々に見られるものになるのかを常に意識し、説明できるようにしておくことは大切です。

特に、未成年の子どもには、本人だけでなく保護者の撮影受諾をもらっておきましょう。
その上で、動画を公開したとき、どんな問題が起こり得るか予想し、それが起こらないようにすることよりも、起こったときの対応策を決めておく方が誠実な行動を取ることができます。

そのように配慮しながら動画づくりを行うのは、大変な労苦を伴います。それでも、取材させていただく方々と、視聴してくださる方々への配慮、報道する内容に誤りがないかに責任を持って、上映・配信する体験は、何にも代えがたい喜びの体験となります。

動画を通して、私たちの信仰を見た人々からの反応は、わたしたちなりの伝道を、わたしたちの教会の信仰を、より実りあるものへと結ぶと信じています。

▽キリスト者の視点から

動画制作には、時間もお金もかかります。残念ながら、制作者の思い通りにいく事は、ほとんどありません。

そこで、むしろ、自分の思いが崩される時に、思ってもみなかった物語が立ち上がるのを目撃することは、動画制作の醍醐味です。

だからこそ、自身が心動かされた事を大切にして、その事を伝える情熱を燃やし続けていきましょう。撮影しているときには、誰にも理解を得られなくても、十年経てば、その記録の価値が上がる事もあります。既に、亡くなられた方の貴重な姿を見ることができます。

わたしたちは今、インターネットやテレビを中心に、ゲーム、映画、広告など、朝から晩まで、動画を目にしない日はありません。その際たるものが、スマホの動画です。スマホを通して、受け手の立場で、あらゆる情報を受けています。

しかし一方で、このスマホにはカメラがついています。

私たちは誰でも、送り手の側に立つことができるのです。受け手から送り手へと変わることができるのです。動画を発信して、自らの考えや行動を世の中に伝えていくことができるのです。

そもそも、わたしたちの教会は、聖書を中心にして、書籍や音楽などで信仰を受け継いできました。同じように、動画を通して、まだキリストに出会えていない人々に、信仰の記録を伝えることができるでしょう。

何より、私たちが守っている礼拝で、集会で、宣教の現場で、目の前に起きている出来事に自らが感動して、心動かされているならば、その感情を伝えていく事は可能なはずなのです。

どうぞ、リラックスして、楽しみながら、ご一緒に、動画伝道の可能性を探っていきましょう。

終わりに

最近、ハリウッド映画の冒頭に、「実話に基づく」という表記がなされた作品が多く目につきます。世の中に、大量の映像が溢れていることで、よりリアルに感じられる映像でなければ、観客に見てもらえなくなったのです。

そこで、特に、ドキュメンタリー作品に注目が集まっています。ドキュメンタリーには、基本的な撮影の構成メモはあっても、撮影前の台本は必要ありません。

作り話ではなくて、ただ制作者が見た真実に根ざした物語が持つ強さにゆだねます。

私たちの教会は、小さく、地味で、貧しく見えるかもしれません。それでも、十字架のキリストによって救われている群れであるならば、その真実に根ざした強い物語を既に持っています。

この小冊子が、この物語を伝えていく一助となりますように。

「動画伝道ハンドブック」 2020年3月20日 片岡賢蔵

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この記事を書いた人

テレビディレクターとして、テレビ東京系WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)、カンブリア宮殿、美の巨人たちなどの経済・美術番組に携わり、国内外1000社以上の企業を取材。

その他、企業VPや、劇場公開映画の制作、キリスト教関連では「ドキュメント加藤常昭」などドキュメンタリー作品を多数制作。

2017年映像制作会社を退社、2021年3月、東京神学大学大学院卒業、現在、新潟市にある日本基督教団 東中通教会 伝道師。

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