2.聞く(インタビュー)
写真や活字では表せない動画の最も魅力的な場面は、目の前の人物が語り出すことです。
しかも、この人にしか語り得ない事柄を、この人にしかできない表情で語るのです。
これは、1回しか起こりません。
数年後、あるいは数日後では、同じ人、同じ場所であっても、全く同じには再現できない語りがあります。
しかし、よほど親しい間柄でなければ、人は、本音をカメラの前にさらけ出すこともありませんよね。
そこで、聞き手にできることは、ただ一つです。
誠実に接し、相手の話しに、素直に耳を傾けることです。そして、緊張感を持って聞くことに集中すると、自分の頭にはなかった「どうして、そう思ったのか?」などの違和感が生まれてきます。
この素朴な疑問を相手にぶつけると、相手にとっても、意図していなかった疑問が生まれます。
すると、それに答えようとする過程の中で、本音がさらけ出されるのです。これは、あらかじめ用意された台本では捉えられません。
それまで隠されていた思いが言葉として発せられる瞬間です。
▽キリスト者の視点から
信仰について語ることは、他人には知りえない個人的なことが関係します。それ故に、よく知ろうとする姿勢が、隠された本音を引き出すことにつながるかもしれません。インタビューのポイントをいくつか挙げます。
①前もってリサーチする。
質問に対して予想される答えをメモに書き出す。
でも、その回答は、あくまで想定内のものです。
インタビュー当日は、そのメモにあるような回答を越えていく、
思ってもみなかった本人しか言えない言葉を聞き出すまで粘ります。
そのためのメモです。
②自分の聞きたいことと回答がズレていたとき
インタビューをしていると、思い通りの流れにならない方がほとんどです。自分が聞きたいのは、こんなことではないのに〜と思うこともしばしばあるでしょう。
それでも、せっかく忙しい時間の中、わざわざ相手の方が時間を割いてインタビューに応えてくださること自体がありがたいことです。
とにかく、相手の方が熱心に語ることには耳を傾け、相槌を打ち、重要なことを言っていると思ったら、メモを取りましょう。聞く側の真剣な態度次第では、さらに、思ってもみなかった発言を引き出すことがあります。
③「はい。」「いいえ。」で、答えられる質問をしない。
「楽しかったですか?」
「えっ、あ、はい…」
「…。よかったですね〜。」
「…。は、はい。」
「…。」
それで、インタビューは終了してしまいます。
④聞きたいことと真逆の聞き方をする。
信仰生活のことを、親身になって
「ご苦労なさったのですね?」と聞いても、
「私なんて、まだまだ未熟です。」「ただ主に感謝です。」
と謙遜される方が多いでしょう。
しかし、私たちが本当に聞きたいことは、そこで終わらせるわけには
いきません。
「意外と、すんなり問題が解決した感じですかね?」
と、一見、失礼に見えるような質問に変えると、相手にもよりますが、
「いやいや、そう簡単にはいかなくて、それからこんなことが…」と話しが続けることが出来たりします。
主と、どんな風にして出会ったのか、礼拝でいかに変えられたのか、キリストはどんなお方なのか?信仰生活の困難さと喜びについて、あの手この手で聞き出しましょう。
⑤重要な点は「つまり、どういうことですか?」と、繰り返す
下手に相槌を打たないことも大切な仕草です。緊張を和らげるために、こちらもわざと、大袈裟にリアクションしたり、「はいはいはい」と頷きを繰り返しがちです。
そうではなく、ここぞという場面では、言っている意味がよくわからないという反応を示して、「つまり、どういうことですか?」と繰り返し尋ねます。
すると、相手の方も、どういうことだろう?と伝え方を考えたり、頭の中で整理を始めます。そのときの沈黙を大切にしましょう。そうした沈黙や、考えながら口を開き出すとき、本音が表れてきます。
3.話す(企画・ナレーション)に続きます。
