1.見る(撮影)
もしユーチャリスという花について誰かに説明しなければならないとしたら?
いろいろ調べて文章を書くより速いことがあります。グーグルで画像検索して、その画像を見てもらうことです。すると、白く可憐な花の姿が、相手の目に焼き付きます。イメージは、情報伝達のスピードを速くします。
そして、もう一つ大切なことがあります。
この花をよく調べようと、花屋に出かけたり、本物を手にしたり、
観察をすることです。
どんどん自分の足で対象に近づいていくのです。
そして、花びらの細かなつくりまで、自分の目で見たとき、
新たな発見に、心が動きます。
この印象こそが、誰か他の人に伝えるイメージをつくりあげます。
つまり、映像は自分が気づいて受けた印象を、カメラを使って証言することです。
その際、よく言われていることに、大切なものはフレーム(縁)です。
そうして、何気なく肉眼で見えている風景から、自分が意識して伝えたいものを決めます。この切り取り線としてのフレーム(縁)が曖昧だと、何を見せたいのか、相手に伝わりません。
リアルの風景を肉眼で目撃しつつ、カメラを覗いたときに切り取られた映像の中に、何を取り込むかにこそ、撮影者の思いが表れるわけです。
▽キリスト者の視点から
ちょっと、ここで、マタイ福音書にある、山上の説教の場面を動画として、イメージしてみてください。
「イエスは、この群衆を見て、山に登られた。
腰を下ろされると、弟子たちが近くに寄って来た。
そこで、イエスは口を開き、教えられた。」
新共同訳聖書 マタイによる福音書 5章1〜2節
この場面は、大まかに3枚の画に分けられます。
最初は、山が入るほどの広い映像だったのが、
最後には、イエス様の口まで迫っています。
どんどん、フレーム(縁)が、イエス様に、近づいていくのです。
つまり、カメラが、グーッとズームして、聖書の読み手を、
口の動きまで引き込んでから説教が始まります。
「心の貧しい人々は、幸いである。
天の国はその人たちのものである。」
新共同訳聖書 マタイによる福音書 5章3節
この広い画から狭い画に近づいていくことが、見る者を引きつける動きになるのです。動画伝道ワークショップでは、このことを、下記の3段回に分けた画を撮っておくことを意識するように伝えています。
ヒキ(引いた広い画)、
ヨリ(寄っていった狭い画)、
ヨリヨリ(とことん迫ったドアップの画)
ヒキ、ヨリ、ヨリヨリ、
ヒキ、ヨリ、ヨリヨリ、
ヒキ、ヨリ、ヨリヨリ、
いいでしょうか。撮影したときに、あれ?ヨリの画を撮ったかな?ヒキの画を撮ったかな?ヨリは撮ったけど、ヨリヨリまでは撮ってなかったな?と
思い起こせるようにすれば、撮り忘れを防げます。そして、編集するときに、ダイナミックな動きのある動画づくりができるようになります。
マタイ福音書に戻ります。
イエス様の説教で、聖書は終わっていません。
必ず、聞く人たち、群衆のリアクション(反応)が、描かれます。
「イエスがこれらの言葉を語り終えられると、
群衆はその教えに非常に驚いた。
イエスが山を下りられると大勢の群衆が従った。」
新共同訳聖書 マタイによる福音書 7章28節、8章1節
動画伝道ワークショップでは、このことを、下記の3段回に分けた画を撮っておくことを意識するように伝えています。
アクション(話し手[説教者]の言葉、振る舞い)
リアクション、(聞き手[会衆]の反応、振る舞い)
アクション、(聞き手が新たなアクションを起こしていく様子)
アクション、
リアクション、
アクション、
アクション、
リアクション、
アクション、
語り手の言葉が、聞き手の間で、どういう変化を起こして、
どんな行動につながったのか。
それを見ることで、私たちの心は動かされます。
私たちが伝えたいのは、イエス様に従うようになった物語です。
実際の撮影でも、語り手の言葉が、聞き手に、
どんな反応を引き起こしたのか、
リアクションを撮影することで、独自の物語を記録できます。
2.聞く(インタビュー)に続きます。
